| 『楽園(上・下)』(宮部みゆき著・文藝春秋) |
『模倣犯』の続編として、その後の前畑滋子が再び巻き込まれるある家族の暗部。
と書けば連続殺人事件を題材にした『模倣犯』のようにインパクトのある話かと思いきや、そうでもないんですよね。『模倣犯』はかなりのめりこんで読んだけど、今回は正直、家内がたまたま買っていたから読みはじめたって感じだし、とっかかりもこの手のものにしてはスローというか退屈でして、読むペースは当初かなり遅かったです。
だけど点と点がつながりはじめてからは面白くなってきました。 長女を殺して自宅下に埋めた両親と、その事件の詳細を知るはずもない少年が残した絵のつながり。少年を交通事故で亡くした母親から依頼されて関連性を調べていくうちに明るみになっていく事件の裏側ともう1つの事件。
『模倣犯』は被害者側の立場から描かれてるシーンが多かったので、「悪者」が引き立っていた印象ですが、今回は被害者が「入れ替わり・立ち替わり」なので、視点は依頼者・敏子と滋子が中心に描かれています。その分読むほうとしてはスリルに乏しい感じがするのでは。
私はたまたま『ぼんくら(上・下)』(宮部みゆき・講談社文庫)を並行して読んでいたのですが、『楽園』にしても『ぼんくら』にしても、人と人とのつながりを描くことに重点が置かれていて、前者は家族、後者は長屋の人たち。「犯人と被害者」という図式を求めたら肩すかしをくらうでしょうな。
ミステリーとしては物足りないですけど、ヒューマンドラマとして読んだらとても面白い作品だと思います。特に子供がいる人たちはいろいろ考えさせられますよ。最後のオチには不覚にも泣いてしまいました。思いもしないところからボールが飛んできた感じで、ほんと「不覚」でしたわ。
「楽園」っていうタイトルは「???」て思いながら読んでいたのですが、これも最後に説明があります。本当は『失楽園』のほうがふさわしいタイトルだったのかもしれませんが、あっちのほうが先着でしたからな。
ただ、本編と断章の「つなぎ」はちょっと強引。「世間は狭い」とは言いますが、そんな簡単に人が見つかっていいのん?小説だからいいのか(笑)。
この作品は映画化とかドラマ化はせんほうがええやろうなあ。といいつつキャストなんか勝手に考えてみたり・・・・(笑)。前畑滋子は桃井かおりとか宮本信子って感じです(現年齢とはかなり差がありますが)。『模倣犯』は木村佳乃だったのですね。全然印象に残ってまへん。あれは中居正広のPVだから仕方ないけどね。
小説読んで泣いたのなんて初めてかもね。いや、自分でも驚きました・・・。
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